江戸時代の歯の治療
投稿日:2019年8月21日
カテゴリ:ドクターズBLOG
浮世絵に、歯のお手入れをしていたり、歯の痛みで苦しんでいる人の
絵がけっこうたくさん残っているそうです。
当時は今のように歯科医療が発達していませんから、歯が痛ければ抜くしかなく、
「口内医」と呼ばれる歯の治療を専門とする歯科医師のような仕事をする人か、
抜歯専門の「歯抜師」や大道芸人に抜歯を頼んでいました。
当然麻酔はありませんから、ひたすら痛みを我慢して抜いてもらうわけで、
考えるだけでぞっとしますね。
松尾芭蕉、小林一茶も歯の悩みがあったようで、歌に詠んでいますし、
南総里見八犬伝で有名な曲亭馬琴は50才代で総入れ歯になった
とのこと。
しかし治療を頼めるのはお金持ちだけで、庶民はどうしていたかというと、
漢方薬など売薬や民間療法の生薬を飲む、おまじないをする、
痛いところに竹筒をあててその先端に灸をすえる、大根の汁を痛くないほうの耳へ注ぐ、
もぐさの煙を鼻から吸って口から出す、お参りに行って願掛けやお祓いをするなど、
現代から考えるととても歯の痛みが止まるとは思えない方法でしのいでいたのです。
麻酔を使って安全に治療を受けられる現代人は幸せですね。
今後さらに治療が進歩して、もっと早くもっと楽に歯科医療が受けられるようになるといいと思います。
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